大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和62年(わ)853号 判決 1987年12月25日

本籍

大阪府八尾市志紀町南二丁目六番地

住居

大阪府八尾市志紀町南二丁目六番地

会社役員

田中健一

昭和二一年三月三一日生

右の者らに対する相続税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官長谷川充弘出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二六〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府八尾市志紀町南二丁目六番地に居住し、実父田中芳松の死亡(昭和五九年一〇月九日)により同人の財産を共同相続し、他の共同相続人田中千代子(右田中芳松の妻)らとの遺産分割の協議によりその遺産の一部を相続したものであるが、全日本同和会大阪府連合会岸和田貝塚支部長であった、分離前の相被告人(以下、単に「相被告人」という。)濱吉里志、山本瓦工業株式会社を経営するとともに不動産業を営む相被告人山本實、ヨシミ産業株式会社を経営するとともに不動産業を営む相被告人村木良己、行政書士である相被告人山本徳行及び右田中千代子らと共謀のうえ、右田中芳松にかかる架空債務を計上して相続税の課税価格を減少させる方法により、被告人の相続税を免れようと企て、被告人の正規の相続税の課税価格が三億八二八一万四〇六一円で、これに対する相続税額が一億六二六二万八七〇〇円であるにもららわらず、右田中芳松には、嶋本利男に対し六億三一六〇万円の債務があり、かつ、その債務のうち、被告人において三億円を、右田中千代子において三億三一六〇万円をそれぞれ負担することとなったように仮装するなどしたうえ、昭和六〇年四月六日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、被告人の相続税の課税価格が九二九四万七九六一円で、これに対する相続税額が一七五八万四一〇〇円である旨の内容虚偽の相続税申告書を提出し、もつて、不正の行為により、被告人の相続税一億四五〇四万四六〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通

一  相被告人濱吉里志の検察官に対する昭和六二年二月二六日付、同年三月四日付、同月五日付、同月二七日付(二通)及び同月三〇日付各供述調書

一  相被告人山本實の検察官に対する昭和六二年二月二六日付、同年三月一日付、同月八日付、同月二三日付(二通)及び同月二五日付各供述調書

一  相被告人村木良己の検察官に対する昭和六二年二月二七日付(二通)、同年三月四日付、同月九日付及び同月二七日付各供述調書

一  相被告人山本徳行の検察官に対する昭和六二年二月二四日付、同年三月二日付、同月三日付及び同月二六日日付各供述調書

一  相被告人野口忠夫の検察官に対する昭和六二年三月一四日付、同月二一日付、同月二三日付及び同月二八日付各供述調書

一  相被告人谷博文の検察官に対する供述調書四通

一  田中千代子(二通)、田中仁子、岩垣利忠、伏見精久(二通)、高田菊雄、立中善巳(昭和六二年二月二〇日付、同月二三日付)、團博史の各検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官藤永昌博作成の脱税額計算書及び査察官調査書四通

一  大蔵事務官赤井良二作成の査察官調査書

一  大蔵事務官内野恭介作成の査察官調査書

一  八尾税務署長作成の昭和六二年三月三〇日付証明書

一  八尾市長作成の昭和六二年三月二六日付戸籍謄本

(法令の適用)

被告人の判示所為は刑法六〇条、相続税法六八条一項に該当するので、所定刑中懲役刑及び罰金刑を併科することとし、情状により同条二項を適用し、その所定刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金二六〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、刑法一八条により金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 上原茂行)

税額計算書

(相続税法違反 田中健一)

<省略>

修正貸借対照表

(田中芳松――相続財産合計分)

<省略>

修正貸借対照表

昭和59年10月9日 相続 (田中千代子分)

<省略>

修正貸借対照表

昭和59年10月9日 相続 (田中健一分)

<省略>

修正貸借対照表

昭和59年10月9日 相続 (平松千恵子分)

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例